「タック紙」=ラベルやシールの紙の基礎知識
タック紙とは
タック紙とは、シールやラベル、ステッカーなどの印刷に用いる、裏面に接着剤が塗布された紙のことです。あまり聞きなじみがない言葉かもしれませんが、ラベルシール・ラベル用紙などの名前で100均や文具店でも販売されているあの紙です。
英語の「tack」は、主に「画鋲」や「留め具」等を使って物を一時的に留める、という意味で使われます。「タック紙」のタックは、シール・ラベルの粘着で一時的に留める、ということですね。
シール・ラベルは主に表面基材・粘着剤・剥離剤・剥離原紙の四つの層からできています。印刷する面が表面基材、これに粘着剤が付いて物に貼り付ける部分になっています。これらは台紙に貼られて出荷されていますが、実は台紙も剥離原紙に剥離剤が塗られた二層の構造になっています。
タック紙と一言で言っても、用途によって表面基材と粘着剤の組み合わせはさまざまです。下記に、簡単に紹介していきます。
なお、より詳しい基材や粘着剤の紹介はこちらの記事に書いていますので、ぜひ併せてご覧ください。
表面基材
タック紙の表面基材は、素材のもつ質感が特徴の「紙」基材と、耐久性や耐水性に優れている「フィルム」基材の2つに大きく分かれます。求められる意匠性や貼り付けるモノ、そして貼り方や貼った後の使用方法などによって最適な素材を選ぶことができます。
紙の基材には、マットな質感、ツヤツヤとした質感、クラフトや表面加工紙などたくさんの種類があるので、用途によってデザインや機能などを見極めて選択することになります。また、紙素材は価格が割安なので、コストを減らしたい時には注目したい素材です。その代わり、フィルムと比べると耐久性に劣ります。
フィルム基材最大のメリットは、耐久性の高さです。強度や耐候性、耐水性、耐熱性などに優れており、多くの場面で活躍してくれます。ただし、フィルムは紙素材と比べると値段が高く、コストがかさみがちです。
粘着糊
タック紙の粘着糊には、大きく分けて永久接着タイプ、再剥離タイプ、再貼付タイプの3タイプがあり、用途や利用シーンに応じて選ぶことができます。また糊の主成分は、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などがあります。
永久接着タイプは、紙・フィルム素材ともに一般的に使用される糊で、長期間貼り付けたまま基本的には剥がさない用途向けの粘着剤です。
永久粘着タイプの中でも粘着の強さや耐熱性・対候性等が求められる場合があります。平滑面に貼り常温で保管する製品であれば一般粘着で問題ありませんが、貼り付ける場所が平滑ではない、一般粘着でははがれやすい、冷蔵・冷凍保存するなどの場合には粘着剤も検討する必要があります。
再剥離タイプは、シールを貼って一定期間後に糊が残らないで剥がせることを目的に使用する糊です。キャンペーンなどで一定期間貼った後、剥がす用途のPOPラベル・アイキャッチシールなどに向いています。
再貼付タイプは、再剥離タイプのように一度剥がしたら終わりではなく、何度か貼って剥がしてを繰り返すタイプです。身近なところでは付箋や、子どもが遊ぶ着せ替えシールのようなファンシー文具に用いられています。
表面加工
タック紙は印刷時・または印刷後、用途に応じた加工を施す場合もあります。
全面または部分的に印刷することで加飾するニス印刷や、印刷後にフィルムを貼ることでラベルの表面を保護し耐久性をもたせたり、意匠性をプラスできるラミネート加工などがあります。
特にラミネート加工は、ラベルの耐久性を高めながらフィルムの種類によって印象をがらっと変えることができるため 、付加価値を高めたい場合に多く用いられる加工方法です。
仕上げ
タック紙を印刷した後には、仕上げ加工が必要となります。ラベルを実際に使用する形状にする抜き加⼯には、剥離紙を残して表面基材と粘着剤のみカットする半抜き加工(ハーフカット)と、剥離紙までカットする全抜き加工(フルカット)の2種類があります。また、その後の使用方法に応じてシールが剥離紙について巻かれた状態のロール仕上げと、1枚ずつ平たくカットしたシート仕上げに分かれます。
ラベラーで⾃動貼りするような場合には、ラベル本体が剥離紙上にあることが必須条件となるため、半抜き加⼯・ロール仕上げを選びましょう。
また、いろいろな形のシールが1枚に入った状態で販売されているキャラクターシールなどは、シート仕上げで、半抜きと全抜きを組み合わせて加工されています。
タック紙印刷はプロにお任せ!
タック紙について、基本的な構造や加工をご紹介してまいりました。実際、タック紙と一言で言っても表面基材と糊の組み合わせによってさまざまにあり、用途に応じて選定・印刷加工することが必要です。
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