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商標登録とは?種類やメリット・デメリット、登録の方法をご紹介 

皆さんは、会社の大切な商品やサービスを真似されたくない、権利を保護したいと思いませんか?そんな時に役に立つのが「商標登録」。言葉は耳にしたことがあっても、仕組みや登録の方法は分からないという方が多いのではないでしょうか。

この記事では、商標登録の種類や区分、登録のメリット・デメリット、登録までの流れをご説明していきます。

商標登録とは

皆さんは日常生活を送る中で、商品やサービス、企業を区別するマークや名称を見たことがあると思います。これらは目印となり、目当ての商品を購入したり、適切なサービスを利用したりすることに役立ちます。
これらのマークや名称は商標と呼ばれるものであり、特許庁に出願・認可されることで、知的財産権を得て、独占的に使用する権利が与えられます。大切な商品やサービスを真似されたり、権利を奪われたりすることを法的に防ぐことが出来るのです。

知的財産権とは

人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、 財産的な価値を持つものがあります。そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。 知的財産の中には法律で規定された権利があり、それらは「知的財産権」と呼ばれます。

主な知的財産権には以下のものがあります。

特許権:発明に関する権利

実用新案権:新しい形状や構造に関する権利

意匠権:製品の形状や模様に関する権利

商標権:商品やサービスを区別するマークや名称に関する権利

商標登録の種類

商標登録には、大きく分けて以下の5種類があります。身の回りの商標はどれに該当するでしょうか。ぜひ当てはめながら確認してみてください。

1. 文字商標

文字のみで構成される商標です。社名、商品名、スローガンなどがこれに該当します。その商標が、特定の意味を持っているかは問われません。

コカ・コーラ文字商標.jpg

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 106633 号防護第06号 ゼ コカ コーラ カムパニー

2. 図形商標

文字以外の図形のみから構成される商標です。ロゴマーク、キャラクター、記号などがこれに該当します。

クロネコヤマト図形商標.jpg

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 3085606 号 ヤマトホールディングス株式会社

3. 立体商標

3次元の立体的な形状で構成される商標です。例えば、特徴的な形状の商品や、キャラクターの人形などがこれに該当します。

コカ・コーラ立体商標.jpg

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 5225619 号 ザ・コカ・コーラ・カンパニー

4. 結合商標

異なる意味合いを持つ文字と文字を組み合わせた商標や、文字、図形、記号、立体的形状の二つ以上を組み合わせた商標をいいます。上記の商標を組み合わせた商標ともいえるでしょう。YPGの「COP(カーボンオフセットプリント)」の商標もこれに該当します。

COP結合商標.jpg

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 6794122 号 ヨシダ印刷株式会社

5. 音商標

音楽、音声、自然音等からなる商標であり、耳で聞くことができる商標のことをいいます。 例えば、決済端末にカードを当てた時に流れてくる音や、テレビCMを見ていると頭に残るリズミカルな社名・商品名の呼び方などが音商標です。

イオン音商標.jpg

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 5984020 号 イオン株式会社

少し変わった商標登録

近年では、上記の基本的な商標に加え、以下の新しいタイプの商標も登録可能に。「こんなものも商標登録ができるんだ!」と驚く方も多い内容になっています。 従来の商標と比べて表現方法の幅が広いため、より独創的なブランドイメージを構築することができます。

6. 色彩のみからなる商標

特定の色合いのみで構成される商標のこと。コンビニエンスストアを認識できる特定の色の並びも、この商標に分類されます。

セブンイレブン色彩のみからなる商標.jpg

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 5933289 号 株式会社セブン-イレブン・ジャパン

7. 動き商標

動画で構成される商標のこと。動きのあるロゴマークなどがこれに当てはまります。

永谷園動き商標.png

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 5860816 号 株式会社永谷園ホールディングス

8. ホログラム商標

ホログラムで構成される商標のこと。見る位置で色合いが変わるホログラムも、商標登録することができます。

JCBホログラム商標.jpg

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 5908592 号 株式会社ジェーシービー

9. 位置商標

図形などが商品につく位置を特定する商標のこと。ゲームのボタンの位置、模様の位置などが当てはまります。「この配列はOOの商品だ!」と連想されることのできるものは、商標として登録可能です。

日清食品位置商標.jpg

参照:特許情報プラットフォーム
商標登録第 6034112 号 日清食品ホールディングス株式会社

商標登録の区分

世の中に数多く存在する商品やサービスをより正確に管理するため、商標は45の区分に分類されています。区分は、大きく第1類から第34類までの商品と、第35類から第45類までのサービスに分けられます。
例えば、

第3類:洗浄剤、化粧品
第5類:薬剤
第16類:紙、事務用品
第35類:広告、事業、卸売
第41類:教育、娯楽、スポーツ、文化
第43類:飲食、宿泊

というような形です。

この区分は、単に商品やサービスを整理するための記号ではありません。 実は、商標登録の審査や権利範囲にも影響を与えます。商標権は「商標 × 指定した商品・サービス」 のセットの権利です。そのため、たとえ全く同じ商標であっても、指定した「商品・サービス」が似たものでなければ、基本的には違うものとして登録することができるのです。

例えば、「○△□」という商標を、ある服屋が第25類(衣類)に登録し使用していても、同じ「○△□」という商標を第30類(コーヒー、調味料、菓子)で登録すれば、喫茶店の名前としても使用することができます。
このように、商標は商品・サービスごとに登録されるので、同じ名称でも内容が異なれば使用できることになります。
ただし、似たような商品・サービスだと、権利が衝突する可能性があるので注意が必要です。さらに、有名な商標だと、商品・サービスが異なっていても権利が認められない場合があります。

商標登録をスムーズに進めるためには、まず第一歩として、自分の商品・サービスがどの区分に属するのかを正しく把握することが重要です。

商標登録のメリット

商標登録の基本的な知識をつけられたところで、商標登録のメリットやデメリット、商標登録をしないと生じる問題を取り上げていきます。 会社の規模や商品・サービスの性質を鑑みながら、商標登録を行うか、行わないかの一つの指標としてみてください。

商標登録には、以下のようなメリットがあります。

ブランドの保護

自社の商品やサービスを、類似品や模倣品から守ることができます。自分たちの商品の独自性を法律の力で守れるということは、新しい商品やサービスが日々大量に生み出されている現代において安心材料になるはずです。

信用力の向上

企業名や代表するサービス・商品の商標は企業の顔とも言えるものであり、登録することで企業の知名度や信頼性を高めることができます。

ライセンスによる収益化

他社が自社の商標を使用したい場合、ライセンスを与えることで使用料収入を得ることができます。

商標登録をしないと生じる問題

商標登録には、登録をしないことで生じてしまう問題も存在します。メリットを受けなくてもまあいいかな、という気持ちではいけないのが商標登録の難しいところ。問題の存在もしっかりと認識しておきましょう。

類似品や模倣品の出現

自社の商品やサービスの商標登録していないと、似ている商標や、意図的に模倣した商標から法的に守ることが難しくなってしまいます。 商標登録していないことで他社に認識されにくくもなってしまうので、悪意がなく使用されてしまう可能性もあるでしょう。自社の商品やサービスと類似した商品やサービスが出現することで、顧客を混乱させてしまいます。

ブランドイメージの低下

類似品や模倣品が出現してしまうことで、自社のブランドイメージが低下する可能性があります。商標には商品やサービスのイメージを確立してくれる力が強い分、それが悪い方向に働いてしまうこともあるのです。

類似商標が他社に商標登録されるリスク

不正の目的による他人の出願など登録が認められない場合もありますが、たまたま同じような商標を他人が考えて登録することが、法令上問題なく認められることもあります。このことが、訴訟を受けるリスクにも繋がってしまいます。  

商標登録のデメリット

先ほど商標登録することのメリットと、しないと生じる問題について述べてきましたが、物事は一長一短。デメリットも存在します。商標登録のデメリットは以下に挙げた2つです。

費用がかかる

商標登録には、実際に登録されるまでに様々な手数料がかかります。具体的には、

出願料:出願をする際に支払う必要があります。(3,400円+〈区分数×8,600円〉)
審査関係手数料:審判の請求や判定請求など、審査に関わる手数料がかかります。(審判請求 15,000円+〈区分数×40,000円〉)
登録料:商標登録が認められた際に支払う必要があります。(区分数×32,900円)
回復手数料:登録の更新の際に支払う必要があります。(86,400円)

などがあります。手数料を支払う手間も考えると、会社には大きなコストがかかることになります。

参照:特許庁
産業財産権関係料金一覧

登録要件確認の手間

商標登録には、一定の要件を満たす必要があります。例えば、他人の商標と類似していないこと、公序良俗に反しないことなどです。 この要件を確認するには手間がかかるので、弁理士や代行サービスに依頼する企業も多いです。

登録までの流れ

 メリットとデメリットを踏まえたうえで、実際に商標登録を行う際の流れをご紹介していきます。

1 商標出願:出願書類の作成・提出を行います。

2 方式審査:書類の形式や料金などに関する審査を行います。

3 実体審査:その商標を登録できるか否か、実体的な内容に関する審査を行います。

4 登録査定:登録することができない理由が見つからなければ、「登録査定」が送付されます。

5 登録料納付:所定の登録料を納付後に設定登録されます。

6 商標権の設定登録:ここでようやく商標権が発生します。

一般的に、出願してから審査結果が通知されるまで5~8ヵ月程度かかると言われています。審査の差し戻しがあれば、これ以上に時間がかかることもあるでしょう。新しい商品の販売やサービスの開始にあたり、登録が必要な時期を把握し、逆算して申請を行うことがポイントになってきます。
また、類似した商標が登録がされていないか、事前にしっかりと確認を行うことも重要です。

参照:特許庁
初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~

YPGも「COP(カーボンオフセットプリント)」を商標登録しています!

商標登録は、自社の商品やサービスを守るために重要な権利です。 私たちYPGも、弊社の大事なサービスの一つとして、「COP(カーボンオフセットプリント)」のロゴマークを商標登録しました。 (詳細はこちら
カーボンオフセットプリントとは、印刷物の製造時に発生するCO2を、温室効果ガス削減・吸収活動に投資することでオフセット(相殺)、カーボンニュートラル実現に向けた活動に貢献するサービスです。

YPGは、「ハンドサインクリップ」で意匠権を、「COP(カーボンオフセットプリント)」で商標権を取得しています。あなたの会社の大事な商品・サービスも、商標登録をすることで守ってみませんか?

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