SDGsにつながる印刷とは?印刷物で可能な具体的な取り組みをご紹介
SDGsが提唱される前から、当社では環境にやさしい印刷に取り組んでまいりました。
お陰様で、特にSDGsが提唱されるようになって以降、環境にやさしい印刷についてお客様からお問合せいただく機会も増えております。
特によくお問合せいただくのが、環境にやさしい取り組みをされている企業様・団体様。
会社案内や入社案内、カタログ、ポスター、パッケージなどの印刷物も環境対応品にしたいということで、どのような方法があるのかをお問合せいただきます。
そこでこの記事では、印刷とSDGsの関係や、印刷物を通じてSDGsに貢献する方法や具体的なアイテム例をご紹介します。
SDGsへの取り組みを加速させたいとお考えの広報担当者様におすすめの内容です。ぜひ、貴社の取り組みの参考になさってください。
SDGsとは
そもそも、SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称であり、日本語で「持続可能な開発目標」という意味になります。それぞれの単語の頭文字と、最後にあるGoalsのsを合わせて"エスディージーズ"と読みます。
SDGsは2016年から2030年の15年間で達成すべき「世界共通の目標」として、2015年9月の国連サミットで、国連に加盟する全193カ国によって採択されました。
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として、発展途上国も先進国も、その国の状況を問わず地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
●SDGsについては、こちらの記事でより詳しく解説しています。
印刷物からSDGsに貢献する意味
世界共通の目標としてのSDGsは、各国が取り組みを牽引することはもちろん、経済活動の中心となる企業や一般消費者も率先してして目指すべき目標です。実際、多くの企業が取り組みを進めており、消費者目線から見ても、SDGsへの配慮を謳っている商品が増えていると感じます。
企業のSDGsの取り組みとして、まずは自社内でできることを進めるのが一般的ですが、同時にその取り組みを社内外に向けて広める広報活動や、取り組みが進んだ先で、さらに自社の事業に関連するすべての工程(原材料の生産・調達から購入者の廃棄まで)まで環境配慮を考えることが望ましいでしょう。
印刷物からSDGsに取り組むことは、広報とサプライチェーンの両面で貢献することができます。具体的に見ていきましょう。
広報の一環として
SDGsに関する統計データ
SDGsに取り組む企業に対して実施された統計調査「日本の人事部 人事白書2021」によると、SDGsの取り組みを「行っている」「今後行う予定である」の回答理由は以下のグラフの通りでした。
グラフを見ると、「ブランディングの効果があるから」が62.4%と最も多く、「ステークホルダーからの評価が高まるから」(58.0%)、「人材の採用につながるから」(40.8%)、「新規事業の開拓につながるから」(28.0%)、「新規取引先の開拓につながるから」(23.6%)と続いています。
また、電通が2021年に実施した第4回「SDGsに関する生活者調査」によると、職業別のSDGs認知率は、学生が76.1%と最も高い割合になりました。
年代別のデータを見ても、10代のSDGs認知率は7割を超えており(10代男性75.9%、10代女性72.2%)、Z世代と呼ばれる若い世代がSDGsに関心を持っていることが分かります。
現在は学校の授業やテレビ番組などでSDGsが取り上げられることで、SDGsという言葉自体が身近な存在になっていると思われます。今後経済活動の中心となっていく若い世代の認知が高まっており、取り組むことが当たり前、逆に取り組まないことでマイナス評価につながる可能性もあるかもしれません。
SDGsへの取り組みを印刷媒体で分かりやすく広報
SDGsへの取り組みは、その内容を分かりやすく情報発信しなくては、お取引先やエンドユーザー、社員にも伝わりません。せっかくの取り組みを「聞かれたら話す」ではなく、自社から発信することが大切です。
ホームページやSNSなどのオウンドメディアをはじめ、会社案内・入社案内、社内向けであれば社内報、また製品自体のパッケージなど、さまざまなタッチポイントで一貫してPRすることで、社会に貢献するブランドとして印象付けることができブランディングにつながります。
印刷媒体でPRするメリットとしては、例えばエコな印刷手法や材料を選択するなど条件を満たすことによって、各種マークを表示することができる点です。認知の高いマークや、環境への貢献度を数値で示すマークを表示することで、一貫した取り組みを消費者やお取引先に分かりやすく伝えることができるでしょう。
新たな取引先との接点となる会社案内、会社の今後を担う社員との接点となる入社案内は、ネット社会である今の時代だからこそ、本当に検討度合いの高い相手にしか渡す機会のない「特別なツール」です。自社の姿勢や方針を示すための場として、SDGsへの取り組みは是非掲載しましょう。
サプライチェーン全体の取り組みとして
既に自社製品での取り組みを概ね実施されている企業様では、次なる段階として、サプライチェーン(=原材料の調達・設計・製造・物流・販売といった、製品がつくられて消費者の手に届くまでの一連の流れ)全体の取組みを見直す場合もあると思います。
企業のサプライチェーンにおいては現在、単に自社の利益を追求するだけではなく、環境・労働環境・人権などの社会的課題に配慮しているか否かも重視されるようになりました。
万が一、環境破壊や長時間労働・強制労働などが発覚した場合にはブランドイメージが傷つき、顧客や取引先、求職者など、あらゆるステークホルダーからの信用を失い、業務停滞、不買運動が起こるなどのリスクもあります。
パッケージや軟包材などの商品の外装は社外に発注する場合が多いと思いますので、貴社と一緒になってSDGsへの貢献策を考えるだけの企画力・調達力のあるパートナーとのつながりを持つことは、リスク回避にもつながります。
後ほど具体的にご紹介しますが、YPGでは例えば、カーボンニュートラルを目指す企業様とパートナーシップを築くべく、印刷物の製造工程で発生するCO2排出量をクレジット購入することで実質ゼロにする「カーボンオフセット印刷」を実現しております。
また例えば、今まで紙とプラスチックを組み合わせていたパッケージをすべて紙素材に変えることで、環境負荷を顕現するとともに、エンドユーザーの分別の手間を省くなど、パートナーシップによって新たに選ばれる価値を生み出すこともできるでしょう。
印刷物を通じてSDGsに貢献する方法
印刷物とSDGsの取り組みの関係性を知っていただいた上で、具体的に、印刷物を通じてSDGsに貢献する方法を見ていきましょう。
エコな原料を使う
SDGsへの取り組みとして、環境配慮に力を入れられている場合は、印刷に使うインキや紙といった原料も、環境に優しいものへと切り替えるのがおすすめです。
例えばインキであれば、VOC(揮発性有機化合物)を排出しないノンVOCインキ、生分解性のある植物油を使用したベジタブルインキなどが挙げられます。
また、紙であれば、森林保全に配慮して切り出された木からできたFSC認証紙や、石を原料としてつくられたストーンペーパーなどが挙げられます。
実際に使用する原料によって対応する項目は異なりますが、主にSDGsの「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「12.つかう責任 つくる責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「15.陸の豊かさも守ろう」などに参画できる方法です。
●環境に優しい原料については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
エコな工場で印刷する
環境配慮に力を入れる際、印刷に使う原料だけでなく、印刷工場全体や印刷機、印刷手法の面からも貢献することができます。
このような設備を持つ企業は、全社を挙げて意欲的にエコに取り組んでおり、安心して発注できるパートナーになり得るでしょう。
例えば印刷方法としては、汚水を排出せず水質保全につながる水なし印刷や、印刷物製造時に排出されるCO2をクレジットとして買い取って相殺するカーボンオフセット印刷などが挙げられます。
また工場全体について、資材・製造工程・取り組みのすべてが環境に配慮されていると認定するグリーンプリンティング認定という制度もあります。
主にSDGsの「12.つかう責任 つくる責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」などに参画できる方法です。
●エコな工場については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
印刷する部数を減らす
印刷と言えば「一度に大量に製造して単価を下げる」方法が一般的でしたが、デジタル印刷(オンデマンド印刷)技術が発達した昨今では、必要な部数を必要なタイミングで印刷することができるようになりました。
当社では在庫レス印刷というサービスとして展開していますが、文字通り在庫が少なくなることによって、不良在庫を減らし使う資源・廃棄する資源を減らす印刷方法です。
同時に、在庫スペースや保管費用の削減、廃棄作業と費用を削減できるメリットもあります。
主にSDGsの「12.つかう責任 つくる責任」「15.陸の豊かさも守ろう」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」などに参画できる方法です。
●在庫レス印刷については、こちらの特設サイトで詳しくご紹介しています。
ユニバーサルデザインを採用する
ここまで環境問題に対応する印刷について例を挙げてきましたが、その他に「4.質の高い教育をみんなに」「10.人や国の不平等を無くそう」の観点から、読み手に優しいユニバーサルデザイン(UD)を採用する方法もあります。
ユニバーサルデザイン(UD)とは、年齢、性別、文化の違い、障害の有無によらず、誰にとってもわかりやすく、使いやすい設計のことを指します。
例えば文字の大きさひとつを取っても、注釈などの最小文字サイズは6ポイント以上、行間は文字サイズの何%にするなど、多くのUDガイドラインで基準が定められています。また、誰もが読みやすいフォントとして「UDフォント」も発表されています。
トイレのマークに代表されるような、人やモノを記号で表す「ピクトグラム」も、さまざまな国の子供から大人まで誰でもわかりやすいデザインです。
他にも、お子様やお年寄りなどが使うことに配慮して針金を使わない製本、本の角を丸くカットして仕上げる製本などもあります。
SDGsに貢献する印刷物の具体的事例
前項では、ダイジェストで印刷物を通じたSDGsへの貢献方法を紹介してきましたが、最後にすぐ取り入れることができる具体的なサービス・製品を4つご紹介します。
カーボンオフセット印刷
1つ目はカーボンオフセット印刷です。
印刷工程でどうしても発生してしまうCO2を、再生可能エネルギーや森林保護プロジェクトなどに投資することで実質ゼロにできるのが「カーボンオフセット印刷」です。カーボンニュートラルを実現する企業様に特におすすめできる方法です。
SDGsに貢献するとともに、すぐに取り入れることができるのも嬉しいポイント。発注者様はふだん通り印刷物を依頼するだけ、一部あたり数円のローコストで環境に優しい印刷物に切り替えすることができます。
YPGでは大部数発行のオフセット印刷はもちろん、これまで不可能だったデジタル印刷でのCO2排出量の測定を可能にし、小ロットの印刷でもカーボンオフセット印刷を実現できるようになりました。
●カーボンオフセット印刷については、こちらの特設サイトで詳しくご紹介しています。
FSC認証紙
2つ目はFSC認証紙です。
これは、限りある森林資源を将来にわたって使い続けられるよう、適切に管理された森林から適切に調達されたパルプを使用した紙です。
FSC認証は国際的な認証であり、紙自体はもちろん、加工工場も認証を受ける必要があります。
紙製の食品パッケージ等にも表示されている場合が多い知名度のある認証であり、マークも広く知られているので、ユーザーへのアピール力の高い手段です。
こちらも、ふだん作る印刷物の紙をFSC認証紙に切り替えることで、発注者様の手間なく取り入れられます。
●FSC認証紙については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
エコプレス製本
3つ目はエコプレス製本です。
通常は針金を使用する中綴じ製本ですが、紙同士を圧着することによって針金を使わずに綴じる、お子様やお年寄りにも優しい製本です。また、針金を分別するひと手間がなくリサイクルしやすい点もポイントです。
怪我のリスクに配慮して医療機関の広報誌や、異物混入を防ぐ一環として食品メーカーのパンフレットなどで採用実績のある製本技術です。
YPGでは通常の中綴じと同様の料金でサービスをご提供しております。
●エコプレス製本については、こちらの特設サイトで詳しくご紹介しています。
紙製ファイル
4つ目は紙製ファイルです。
通常、クリアファイルはプラスチック製ですが、紙製ファイルは文字通り紙でできたファイルのことです。脱プラ製品として、環境対応をPRするノベルティや社外への見積・企画書提出用に採用いただいております。
紙ならではの特性を生かして、お客様の名前を直接書き込んだりプリントする、中身が透けては困る関係者外秘の資料をファイリングするなどの用途でもお使いいただけます。デジタル印刷によって少部数からご発注可能です。
●紙製ファイルについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
SDGsへの取り組みを印刷物からご支援します
環境に優しい印刷会社として、印刷物から取り組むSDGsについてご紹介してまいりました。印刷物と一言で言っても、さまざまな取り組みが実行可能です。
YPGでは、SDGsが提唱される以前から環境に配慮した印刷物をご提供してまいりました。その実績を生かし、SDGsに取り組む企業様・自治体様などでも環境に優しい印刷で広報・販促ツールのご支援をさせていただいております。
「SDGsへの取り組みについてPRしたい」「環境への取り組み、何から始めればよいかわからない」といったお悩みにお困りの際は、ぜひお気軽にお問合せください。