環境ラベルとは?種類とさまざまなマークの意味、企業の活用メリットをご紹介
身の回りにある製品をよく見ると、環境に配慮していることを示すマーク「環境ラベル」が多くあることをご存知でしょうか?
企業が自社の取り組みを対外的に示す場合に有効な環境ラベルですが、その種類は100以上にも上り、どれを選べばいいのかわからないこともあるでしょう。
この記事では、これからマーク表示を検討される企業担当者様に向けて、環境ラベルの種類や代表的なマークの意味、企業の活用メリットなどをご紹介します。
環境ラベルとは
環境ラベルとは、表示されている製品やサービスが、環境負荷低減にどのように貢献しているかを示すマークのこと。主に製品パッケージや包装に表示されます。
地方公共団体が認定して発行されるマークのほか、アメリカやドイツ、中国など、諸外国が導入している環境ラベル制度などを含めるとその種類は100以上も存在します。
見覚えのあるマークも、いくつかあるのではないでしょうか?
環境ラベルを表示することで、消費者は価格や品質だけでなく、リサイクルのしやすさや環境のことを考えてモノやサービスを買いたいとき、参考にすることができます。
また、事業者もマークを取得・表示することで、環境貢献を重視する消費者から選ばれる製品・サービスを提供することができます。
環境ラベルの種類
各国の代表的標準化機関から成るISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)では、環境ラベルを3つのタイプに分けて規格を制定しています。(ただし、この3つのタイプに分類されない環境ラベルもあります。)
タイプⅠ"第三者認証"
中立公平な第三者機関によって審査・認証が行われる環境ラベルです。
●第三者実施機関にて審査を実施
●製品・サービスのライフサイクルを考慮した基準策定に基づいて審査される
●事業者が申請し、審査を通過することでマークの使用が認可される
タイプⅠのラベル表示に必要な条件は「ISO14024」にまとめられています。
タイプⅡ"自己宣言"
第三者による判断は入らず、事業者が独自に定めた基準に基づいて宣言・表示する環境ラベルです。
●製品・サービスを通じた環境改善を市場に対して提案できる
●宣伝広告にも使用することができる
タイプⅡのラベル表示に必要な条件は「ISO14021」にまとめられています。
タイプⅢ"環境情報表示"
製品の環境負荷の定量的データを表示する環境ラベルです。
●製品・サービスのライフサイクルアセスメント(※)に基づいて、環境負荷をデータで表示
●「合格・不合格」といった基準がない
●購買者は表示されている定量データを見て購買指標とする
タイプⅢのラベル表示に必要な条件は「ISO14025」にまとめられています。
※ライフサイクルアセスメントとは...
資源調達~原料生産~生産・加工~流通・消費~廃棄・リサイクルまでの一連のライフサイクル全体で、どれだけの環境負荷がかかっているかを見える化する手法
パッケージ・包装に用いられる代表的な環境ラベル
たくさん種類のある環境ラベルですが、今回は、パッケージや包装に表示される代表的な環境ラベルを、具体的にご紹介していきます。
エコマーク
エコマークは、製品の誕生から廃棄までのライフサイクル全体で環境への影響が少ないことが認定された製品に付与されるマークで、日本で唯一の第三者認証による"タイプI"のラベルです。
筆記具・ノートなどの小物から家具、楽器、大きなものでは建築資材、また小売店・レストラン・ホテルなどのサービスまで、幅広い商品(物品、サービス)を対象とし、商品の類型ごとに認定基準を設定、公表しています。
運営主体:公益財団法人 日本環境協会 エコマーク事務局
参考サイト:https://www.ecomark.jp/
再生紙マーク
再生紙中の古紙パルプ配合率を表示するマークです。上記のマークは古紙パルプ配合率100%を示し、他に90%、80%のマークもあります。「Rマーク」と呼ばれます。
古紙利用促進とリサイクル意識向上を目指し、資源循環と環境保護に貢献できます。
手続き不要で、誰でも自主的に使用することができます。
運営主体:3R活動推進フォーラム(旧ごみ減量化推進国民会議)
参考サイト:https://3r-forum.jp/
FSC®森林認証
限りある森林資源を将来にわたって使い続けられるよう、適切に管理された森林から適切に調達された林産物に対して表示することのできる国際的な認証マークです。
適切な森林管理が行われていることを認証する「森林管理認証(FM認証)」と、森林管理の認証を受けた森林の木材・木材製品であることを認証する「加工・流通過程の管理認証(CoC認証)」の2種類の認証制度があります。
◇FSC®森林認証についてはこちらの記事で、詳しく解説しています
運営主体:FSCジャパン
参考サイト:https://jp.fsc.org/jp-ja
間伐材マーク
間伐材を用いた製品に表示することができるマークです。
日本の森林を適切に管理し、持続可能な木材資源を確保することを目的に運営されています。森林整備への貢献と消費者の認知向上を目指しています。
運営主体:全国森林組合連合会 間伐材マーク事務局
参考サイト:http://www.zenmori.org/kanbatsu/
水なしバタフライマーク
従来の印刷方法で使用してきた水を一切使用しないことで、汚水を排出しない印刷技術で製造された印刷物に表示されるマークです。
従来の印刷では版に水を付着させ、その水分を弾く油性インクで印刷していました。一方、水なし印刷では、水を使わず版に直接インクを付着させることで、排水処理による環境汚染を抑制することができます。
運営主体:一般社団法人 日本WPA(日本水なし印刷協会)
参考サイト:https://www.waterless.jp/
カーボンオフセット印刷マーク
「カーボンオフセット」で印刷した印刷物に表示できるマークです。
カーボンオフセット印刷とは、印刷物を製造する工程で排出されるCO2などの温室効果ガスを、環境省管轄の「J-クレジット」として購入し、別の場所で削減(埋め合わせ)することでで、実質的にCO2排出量をゼロにする印刷方法です。
◇カーボンオフセット印刷についてはこちらの記事で、詳しく解説しています
運営主体:一般社団法人 日本WPA(日本水なし印刷協会)
参考サイト:https://www.waterless.jp/jwpa/jwpa_co/
バイオマスマーク
植物など生物由来の資源(バイオマス)を10%以上使用し、品質及び安全性が関連する法規、基準、規格等に適合している環境商品に表示できるマークです。
太陽光をエネルギーとした光合成により、大気中のCO2を吸収して成長する植物を原料とするバイオマスマーク認定商品は、カーボンニュートラル社会の形成に貢献し、地球温暖化防止に役立つとされています。
レジ袋や食品容器などの日用品、インキ、衣料品など、多くの商品が認定されており、普段の買い物でも目にする機会が多いマークです。
運営主体:一般社団法人日本有機資源協会
参考サイト:https://www.jora.jp/
バイオマスプラ(BP)マーク
バイオマスプラスチックを一定比率以上含み、安全性が確認された製品に表示されるマークです。有限な資源である石油由来のプラスチック使用量削減と、環境負荷の軽減に貢献します。
バイオマスプラマークには、含有率25%以上の「バイオマスプラマーク」と、10%以上の「バイオマスプラスチック配合マーク」があります。
運営主体:一般社団法人日本バイオプラスチック協会
参考サイト:http://www.jbpaweb.net/index.html
グリーンプリンティングマーク
印刷業界独自の自主基準に基づき、環境に配慮した印刷物とその製造工程を認定するマークです。
マークにはワンスターからスリースターまでの3段階あり、環境負荷低減への取り組みレベルを示します。
◇グリーンプリンティングマークについてはこちらの記事で、詳しく解説しています
運営主体:一般社団法人 日本印刷産業連合会 グリーンプリンティング認定事務局
参考サイト:https://www.jfpi.or.jp/greenprinting/
非木材グリーンマーク
サトウキビバガス、タケ(バンブー)、アシ、ケナフなどの非木材を10%以上使用した紙・紙製品などに表示されるマークです。
CO2吸収源である森林資源を節約することで保護し、地球温暖化に貢献することを目的としています。
運営主体:NPO法人非木材グリーン協会
参考サイト:https://www.himokuzai.org/
植物油インキマーク
従来石油を原料とするインキに対して、植物油を主原料としたインキに表示されるマークです。
大豆油、亜麻仁油、菜種油など、さまざまな植物油が使用されています。
石油系インキに比べて、CO2排出量やVOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compounds)排出量が少なく、生分解性もあるため、環境負荷低減に貢献できます。
運営主体:印刷インキ工業会
参考サイト:https://www.ink-jpima.org/
ノンVOCマーク
VOCを含まないインキに表示されるマークです。
大気中にVOCを排出しないため、環境汚染を抑制できます。また、VOCによる健康被害のリスクが少なく、臭いが少ない特長があり、工場の労働環境の改善にも貢献します。
紙製容器包装リサイクルマーク
紙の包装に表示することで、リサイクルを推奨するためのマークです。1998年から紙製容器包装への表示が義務付けられています。
円と2本の矢印は、リサイクルと自然環境をイメージしており、回収とリサイクルを促進し、日本の紙製容器包装のリサイクル率向上に貢献することを目的としています。
運営主体:紙製容器包装リサイクル推進協議会
参考サイト:http://www.kami-suisinkyo.org/
ダンボールリサイクルマーク
ダンボールに表示することで、リサイクルを推奨するためのマークです。
ダンボールはリサイクル率の高い素材です。分別してリサイクルすることで、資源の有効活用と環境保護に貢献することができます。
再生紙はトイレットペーパーやティッシュペーパー、ダンボールなどの紙製品の原料として使われます。
運営主体:段ボールリサイクル協議会
参考サイト:http://www.danrikyo.jp/
紙パックリサイクルマーク
紙パックに表示することで、リサイクルを推奨するためのマークです。
費者に紙パックがリサイクルできることを知らせ、分別を容易にするために使用されています。
回収された紙パックは再生紙などにリサイクルされます。
運営主体:飲料用紙容器リサイクル協議会
参考サイト:http://www.yokankyo.jp/InKami/
環境ラベルの活用メリット
上記で紹介したものでもほんの一部で、環境ラベルは多岐にわたります。ただ、それぞれのラベルは「どのような観点で環境に貢献しているか」を明確に示しているので、事業者は適切なラベルを選び、活用することで、自社の環境への貢献度や方針を明確に示すことができます。
環境ラベルは、環境に配慮した製品やサービスを消費者に分かりやすく伝える有効な手段であることに加えて、売上への貢献や企業のイメージアップも期待できます。
一方で消費者にとって、環境ラベルは環境に配慮した商品やサービスを選びやすくするために役立ち、エコ意識の啓蒙やエコ活動へのきっかけにつながります。
(公財)日本環境協会が2021年に実施した調査(※)で、全国の20~70代の消費者1,034人に対して、知っている環境ラベルをすべて選んでもらった調査結果があります。
結果を見てみると、「エコマーク」に関する認知度は80.6%と、他のマークと比べて圧倒的に高い結果が出ています。「エコマーク」は1988年に制定され対象品目も多いため、古くから多くの場面で目に触れる機会が多かったことも、数字を後押ししていると考えられます。
また、認知度が高かった「エコマーク」についてさらに調査すると、89.1%以上もの消費者が、エコマークがついていることで環境に配慮した商品としてのイメージが上がると回答していました。
最近では「エコマーク」以外にも、コンビニで購入するレジ袋に「バイオマスマーク」が表示されたり、ネット通販などの段ボールに「FSCマーク」を目にする機会も多くなっていると思います。
持続可能な社会の実現に向けて、社会全体で地球環境への付加が少ないものを使用する意識が高まってきている今、エコマーク以外の環境ラベルの認知、さらには消費者への訴求力も、今後ますます高まりを見せるでしょう。
※引用元:公益財団法人日本環境協会「エコマーク表示に関するイメージ等調査結果(概要)」2021年4月21日
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YPGでは30年以上前から「環境にやさしい印刷」に取り組んでまいりました。
印刷物の価値を大切にしながら環境対応を進めるため、FSC認証とグリーンプリンティング認定を取得、2012年には水なし印刷とエコUV印刷を両立した、日本初の「水なしEco-UV印刷」を実現。
また2023年3月からは「水なしカーボンオフセット印刷」への対応を開始するなど、独自の環境印刷システムを確立してまいりました。
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