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初めての自社ブランド「吉田次作商店」立ち上げレポート~後篇

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はじめての一般消費者向けオリジナル紙ものブランド「吉田次作(よしだじさく)商店」。
ブランドを立ち上げの経緯や、立ち上げから半年ほど経った現在の活動状況を前篇・後篇の2回に分けてレポートさせていただきます。

後篇となる今回は、ブランドリリース後から半年ちょっと経過した現在の状況やここまでの所感など、お話させていただきます。

ブランドリリース後

さて、前回の記事の最後、2023年6月1日にようやくリリースした吉田次作商店。オンラインショップを開設したとは言え、待っているだけではお客様は来てくれない!ということで、次なる課題は認知&販路の拡大です。

キャンペーン開催や各種広告の出稿、小売業者様への促進、イベント参加など、まずはあらゆる方法を検討。年間計画を立てました。

思い通りに行ったこと、いかなかったこと、初めての挑戦はやっぱりいろいろとありましたが、ブランドとして大きかった出来事を3つご紹介します。

Instagram広告とキャンペーンの開催

ブランドをリリースした始めの1か月間、いろいろな方に吉田次作商店を知っていただくために、まずはプレゼントキャンペーンを開催&Instagramに広告出稿しました。

Instagramフィード_キャンペーン.png

一体本当に応募があるんだろうか...と不安に思いながらの開催でしたが、無事に多くの皆様からのご応募をいただきました。この時に応募いただき、実際にプレゼントさせていただいたフォロワー様からは、今もいいねやコメントをいただくなど、嬉しいつながりができました。

一方で広告の費用対効果で見ると、大成功!...とは言えない結果でした。一から自分たちの独学で設定、運用していきましたが、やっぱり広告は一筋縄ではいかないなと実感しました。
それでも、Instagram広告の出稿がなかったら恐らくキャンペーンへの応募はもっと少なかったでしょうし、先述の嬉しいつながりは生まれなかっただろうと思うと、1か月間の広告出稿は間違いではなかったように思います。

ロフト様大型店舗でのハンドサインクリップ取り扱い開始

やっぱり一般のお客様に製品を手に取っていただくには、大手小売店に採用いただくのが一番!という(素人)感覚で、有名小売店舗にはアプローチしたいなと漠然とイメージしていました。

そんな中、なんとロフト大型店舗のバイヤー様と直接商談できるかも!?という夢のような機会が。

駆け出したばかりで商品数も少ない、実績もないのに挑戦するのは無謀じゃないか...とも思いましたが、せっかくの機会だからということで、商品の独自性に自信があった「ハンドサインクリップ」にて書類選考へ応募。
そしてなんとバイヤー様の選考を通過し、商談させていただくことになりました!

商談もドキドキでしたが、商品に込めた「コロナ禍で少なくなった職場の対面コミュニケーションをお手伝いしたい」「クリップという消耗品にもエコ視点を広めたい」という想いに共感いただくことができ、10月某日、ついに全国のロフト大型店10店舗の店頭に、自社商品「ハンドサインクリップ」が並ぶことに...!!
金沢にいる私のもとに、実際に店頭に並んでいる写真が届いたときの嬉しさと安堵、それからまだ見ぬお客様と出会えるドキドキ感が合わさった気持ちは、私の一生の宝物です。

この出来事は本当に自信につながりましたし、もっといろいろな方に自社商品を手に取っていただきたいと、さらに貪欲な気持ちが湧くきっかけでもありました。
そして正直なところ、筆者は「本当に応募するの...?」くらいのテンションだったのですが実際には結果が出たことから、たとえ少しの可能性でも、チャレンジすること自体に後ろ向きでいては絶対にダメだと気付くことができました。

文具女子博への初出店

さて、10月のロフト様取り扱い開始までで、裾野を広げることはできたものの、相変わらずブランドとしての認知度はなかなかアップせず...。キャンペーンも一時的なものですし、ロフト様での取り扱いもお客様から見ればあくまでも「いろいろある中の1商品」なので当然のこと。ここまでは想定内でした。

では認知度アップのためにはどうするか?
ブランド立ち上げのときにいろいろと調べてみると、どうやら紙もの界隈ではファンが集うリアルイベントが活発らしいということが分かりました。従って「イベント出店」が初年度の最重要課題でした。

出店を決めたのは2023年12月開催の「文具女子博2023」。2017年から毎年開催されているこのイベントは、日本最大級の文具の祭典、「文具好きが最高に楽しめる」をコンセプトに、順調に動員数を伸ばしているtoC向け即売会です。

han_bungu_2023_banner_1280_628_0731.jpg

出店が決まってからイベント当日までは、とにかくこの準備にかかりっきりでした。
まずは商品ラインナップの拡充。商品の企画自体はイベント出店が決まる前から、プロジェクトメンバーの中でたくさんのアイデアが出ていました。が、これを実際に形にして、製造数量や定価を決めて、リリースまでがまた大変!想定外の問題が出てきてやり方を模索するうちに数週間が経ってしまうこともあり、ほとんどの商品のリリースはイベントの直前になってしまったことは反省点でした。

それから展示ブースも自社内で企画しました。初めての自社商品の商品陳列。なるべくコストを抑えつつ、商品の魅力をお伝えできる展示を、いろいろな店舗やイベントの棚を写真や実店舗で研究しながら考えました。幸いにも印刷会社なのでPOPやパネル制作のノウハウがあり、また既存のBtoB事業でお客様の展示会の企画をさせていただく経験もあったことから、ある程度満足のいくブース設計ができました。

準備は本当に慌ただしくなってしまいましたが、何とか可愛いわが子たちを先に発送し、ドキドキしながら会場のある横浜へ...。
文具女子博公式アカウントからの出店者紹介をいただいたあたりからSNSフォロワー様も少しずつ増えてきましたので、きっと大丈夫!の気持ちが半分。でもやっぱり初出店だし、他のお店も皆様魅力的だし、お客様は立ち寄ってくださるだろうか、の不安な気持ちが半分。

さて、いざ初日を迎えると......なんとなんと予想以上の大盛況!
全然知らないブランドでも、とにかく一通り見ていく中で立ち寄っていただける!イベント自体のパワー、それからお客様の文具愛に圧倒されるばかりでした。

文具女子博.png

特に人気を集めたのがハンドサインクリップに加えて、好きな色で塗っていただける「童話クリップ」。

会場限定童話クリップ.jpg


それからレーザカットでレースみたいに微細にカットした「まっしろどうぶつしおり」でした。

しおり.jpg


お立ち寄りいただくお客様、商品をご説明させていただくと皆様ふむふむと熱心に聞いてくださって、「かわいい~」と直接お声がけいただいて、お客様とお話できる時間はこんなにも嬉しく楽しいものかと、開場時間はあっという間に過ぎていきました。お立ち寄りいただいたお客様から、スタッフ一同たくさん元気をいただきました。心から感謝しております。
予想以上の大盛況だったので、在庫数が足りず完売になってしまったものもございました。初めてとは言え読みが甘く、がっかりされていたお客様には、大変申し訳ありませんでした。

5日間の会期の結果、売上もSNSフォロワー数も設定した目標を達成し、多くのお客様に「吉田次作商店」を知っていただくことができたと思っています。また、実際にお客様とお会いし会場の熱気を感じると、「ペーパーレスの時代」でも紙の未来はまだ明るいと感じました。これは金沢にいるだけでは感じることのできない熱量でした。本当に本当に、出店して良かったと思っています。

ブランド立ち上げしてみて感じたこと

文具女子博が終了した時点で、まだブランドオープンから半年も経過していませんでしたが、こうして考えると半年、必死で駆け抜けた記憶しかありません(笑)。ここまで協力くださった社員の皆様にも、ブランドを見つけてくださったお客様にも、感謝してもしきれません。ありがとうございます。

初めの半年ちょっとだけでも、たくさんの学びがあったブランド立ち上げでした。筆者が感じたことを2点、最後に語らせていただきます。

チャレンジには計画が一番大事

今回の新ブランド立ち上げは、当社にとって紛れもなく新規事業でした。チャレンジを許しサポートしてくださった会社にも、協力いただいた社内スタッフにも本当に感謝しかありません。クラウドファンディングに挑戦した時点から、引くに引けない状況を自分で整えた感もありますが(笑)、何とかここまで順調に進んでこれたのは、「闇雲にチャレンジしない」ことを常に心がけたからだと思います。

チャレンジにはもちろんリスクが付きものですが、幸いネットで多くの情報を得られる現在、さまざまな情報を下調べして比較検討することで、リスクをある程度回避しながら成功確率を高めることができると思います。
私たちも文具業界は初心者でしたが、地道に競合調査や業界調査をすることで、文具女子博までのルートを描くことができました。また、SNSというコミュニティでユーザー様の投稿を見て研究できたことも大きかったです。
前例がないから、わからないからでチャレンジしない選択をするのではなく、前例もないし、わからないけれど、入念に調べた上でチャレンジする。
今回成果が出たからこそ、この差は大きいなと実感しました。

「自分らしさ」の軸を持つ

文具業界にはご存知の通り、大手メーカーから個人クリエイターまで数多の競合がおり、新参者として他社にはない軸を持つことはとても大切だと感じました。
ネットでなんでも調べられるからこそ、情報を集めていくと他社商品や流行にどうしても流されがちになってしまいます。そんな中で、商品開発の判断基準に独自性は不可欠な要素でした。商品開発の過程では、一生懸命考えてみたけれど調べてみると似たような製品が既にあった、という出来事もありました。

似たような商品になってしまう場合は、潔く引いたり、視点を変えてみる。そんなときに軸になるのは、自社ブランドが想定するお客様と、自社が提供できる価値・意味のマッチングだと思います。
吉田次作商店の軸は、紙を生業に110余年営んできたからこそ発信できる「新しい紙の可能性」「さまざまな紙の面白さ」。迷ったときにはこの原点にいつでも帰れるように意識しています。

これからも、まだ見ぬ「紙」を発信します

さて、偉そうに語らせていただきましたが、まだまだ誕生して1年も経っていないブランド。これからもうまくいくこと、行かないこと、もちろんさまざまあると思いますが、長く走り続けられるように試行錯誤して、もっともっとお客様に愛されるブランドに成長したいと思っています。
そして紙っていいよね!紙って楽しいね!と思っていただけるよう、新しい紙の可能性を発信してまいります。

これからも吉田次作商店を、よろしくお願いいたします。

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