ダンボールの種類と用途をわかりやすく解説
ダンボールは、商品の梱包や輸送時のケースとしてなど、さまざまな用途に用いられる汎用性の高い包装資材です。
かつては業務用の外装箱として利用されていたイメージがありますが、近年ではECサイトの発達により、ブランドをイメージさせるカラー印刷が施されたダンボールや、オークションでの商品の発送用としてコンビニや100均ショップで専用の梱包ケースが取り扱われるなど、活躍シーンはさらに広がりました。
段ボールの用途と需要は今後、ますます拡大していくと考えられます。
今回は、意外と奥が深いダンボールについて解説します。
ダンボールとは?
ダンボールとは、商品などを入れるための外装箱として使用される包装資材の一種です。
波状に成形した「中しん」と呼ばれる板紙の片面もしくは両面に「ライナー」と呼ばれる原紙を貼り合わせて構成されています。原紙を貼り合わせた状態ものがシートで、シートからカットしたり、折り目を付けることで最終製品としてのダンボールとなります。
ダンボール(段ボール)の由来は「断面が階段のように段々に見えるボール紙」の意味から来ています。
ご存知の通り、ダンボールの断面は三角形がつらなった構造でできていますが、これを「トラス構造」といいます。
大きなものでは橋やタワーなどにも使われているこの構造によってダンボールの強度が実現しており、紙でありながら中身を衝撃から守ることができます。
段ボールの種類について
ダンボールは、ライナーと中しんの組み合わせにより、さまざまなバリエーションが作成可能です。
●片面段ボール...片側のライナーに中しんを貼り合わせたものです。
●両面段ボール...上下ライナーと中しんの3枚から構成され、シングルフルートとも呼ばれます。一般的に多くみられる形状です。
●複両面段ボール...上下ライナーと中しんの3枚で段が2層で構成されたもので、ダブルフルートと呼ばれます。
●複々両面段ボール...段が3層で構成されたトリプルフルートと呼ばれるもので、特に強度と耐久性を求められる用途に使用されます。
段ボールの厚さとフルート(段)の種類
ダンボールの中芯は、規格で波の高さが決まっており、アルファベットで呼ばれます。
Aフルート(厚さ約5mm)
◇段(断面を見た際の中しんの波の数):30cm内に34±2段
ダンボールと言えば自然に5mmくらいのイメージを思い浮かべる方が大半ではないでしょうか?
Aフルートは一般的に的に多く使用されている材質です。青果屋さんの箱や、引っ越し屋さんの箱など、身近な商品の梱包・出荷用の外装箱として多く利用されています。
Bフルート(厚さ約3mm)
◇段(断面を見た際の中しんの波の数):30cm内に50±2段
Aフルートより薄く、加工精度も高いため、内装箱や緩衝材としても使用されます。
Cフルート(厚さ約4mm)
◇段(断面を見た際の中しんの波の数):30cm内に40±2段
Aフルートの強度とBフルートの精度を持ち合わせています。Aフルートに比べて薄くなるため、数量が多くなると省スペース・省資源の点でメリットが得られます。
BAフルート(厚さ約8mm)
5mm厚のAフルートと3mm厚のBフルートを合わせた2層構造(ダブルフルート)です。強度が魅力ですが、材料コストが高くなってしまう点はデメリットです。
Eフルート(厚さ約1.2mm)
◇段(断面を見た際の中しんの波の数):30cm内に93±3段
縦横の圧縮度が均等なので、精度の高い箱設計が可能です。小型の発送箱として利用されています。
Fフルート(厚さ約0.6mm)
◇段(断面を見た際の中しんの波の数):30cm内に120段
極薄ダンボールです。メール便や小物のパッケージとして多く利用されています。
Gフルート(厚さ約0.5mm)
◇段(断面を見た際の中しんの波の数):30cm内に177段
超極薄のダンボールです。オフセット印刷が可能で、美粧性の高いパッケージ制作が可能です。主に小物のパッケージとして利用されています。
F・Gフルートは「マイクロフルート」とも呼ばれ、その薄さと軽さ、印刷への適正から、デザイン性の高いパッケージを作成する際に採用されています。
進化する機能性ダンボール
ダンボールはさまざまな場面で使用されるため、その用途に応じた機能を付加する必要がある場合も。
そんなときは、ライナー表面に薬剤を塗布したり、合紙など加工を加えることで通常のダンボールに機能性をプラスすることができます。
●耐水ライナー:
特殊な遮水剤の塗布により、雨や湿気などの影響から内容物を保護します。特に食品や電子機器など水濡れに弱い内容物の梱包に適しています。
●防湿ライナー:
特殊な塗工剤を施し、内容物の鮮度を保持することができます。特に青果物などの水分の蒸散を抑制したい場合に効果を発揮します。
●防錆ライナー:
鉄や亜鉛、銅などの金属製品の梱包において、錆による損傷を防止するために効果的なライナーです。
ダンボールの各部名称
ダンボールの各部には名称があります。ここでは図で簡単にまとめておきます。
ダンボールの用途
ここまでダンボールの種類について細かく見てきました。普段何気なく使用しているダンボールですが、用途を考えると以下の4つに分けることができます。
1.商品の保護
ダンボールの最も一般的な用途は、商品の包装です。
商品を輸送や保管中に破損や汚れから守るために梱包します。軽量で丈夫なため、さまざまな形状やサイズの商品に対応することができます。
2.輸送の利便性
ダンボールは商品の輸送にも広く使用されています。
ダンボール箱に入れて梱包された商品は、トラックや船、飛行機などによって、梱包された商品を保護しながら遠隔地まで安全に運ぶことができます。
また、耐水性を付加することで一時的ですが、雨や雪などの悪天候にも耐えることができます。
3.保管
ダンボールは商品の保管にも使用されています。
ダンボール箱に入れて保管された商品は、そのまま積み重ねたり、棚に収納したりすることができます。
また、通気性にも優れているため、商品の劣化を防ぐことができます。
4.情報提供・ディスプレイ
ダンボールは、表面に印刷をすることで商品に関するさまざまな情報を伝える発信ツールにもなります。
そのまま商品のディスプレイへに使用することができるデザインを施すこともでき、店舗の手間も少なく実現することができます。メーカーの想いに沿った陳列で商品の魅力をアピールし、消費者の購買意欲を高めることができます。
ダンボールの特長
紙を加工してつくられているダンボールは、「軽いこと」「丈夫であること」が大きな特長です。
広く世の中で使用されていることから長所も多い包装資材ですが、短所も存在しますので、それぞれを理解して上手に活用したいですね。
【長所】
①保護機能...内容物に合わせてさまざまな強度で保護が可能です。
②利便性...軽量で強度があるので、組み立て・封かん・梱包作業が容易に行えます。
③情報発信...印刷することで広告・販売促進としての機能を付加します。
④再資源化...リサイクル率が約90%と高く、環境に優しい包装資材といえます。
⑤加工性...紙製のため、切断・罫線加工が容易です。
⑥経済性...金属やプラスチック素材に比べて安価な包装資材です。
【短所】
①耐水性...パルプや古紙を原材料としてるため、水や湿気に弱いです。
②品質の安定性...金属やプラスチックに比べ、強度や耐久性で劣る場合があります。
③紙紛...パルプや古紙を原材料としているため、断裁面から紙粉が発生する場合があります。
エコな素材としてのダンボール
SDGsや脱プラへの関心が高まっている社会において、ダンボールは古紙として回収されたのち新しいダンボールとして再利用できる循環型の素材としても注目すべき材料です。
日本におけるリサイクル率は90%以上と高く、何度も生まれ変わる環境に優しい素材と言えます。
環境にやさしいFSC®段ボール
前述の通り、ダンボール自体が環境に配慮した優れものですが、国際的な認証マークを取り入れることでさらに環境への配慮が担保されます。
適切に管理された森林から製造されたパルプを使用した証として「FSC®認証マーク」があります。
FSC®認証マークが付いている製品を選ぶことで、限りある森林を守る活動に貢献できます。
※FSC®認証制度については、こちらの記事で詳しく説明しています。
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また包装に関する専門家「包装管理士」が6名在籍しており、最適な梱包について解決策をご提案させていただきます。
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