製本の種類を使い分けよう!製本方法や綴じ方を解説
雑誌や文庫本、ノート、パンフレット、カタログなど...。
わたしたちの身近にはさまざまな冊子がありますが、それぞれよく見てみると、形状が違っていると思います。
冊子の最終的な形状は「製本」で決まります。
製本は、紙を本の形にするために欠かせない工程ですが、実はページ数や用途、目的に応じて、製本の方法や綴じ方が使い分けられているんです。
この記事では、知っているようで知らない製本の世界を、ちょっとだけ掘り下げてご紹介していきます。
それぞれの製本方法・綴じ方の特徴を比較検討する際に、ぜひお役立てください!
製本とは?
そもそも「製本」する前の印刷物は、平たい大きな紙の状態です。これをページ順になるように折って重ね、1冊の本に仕上げる工程が「製本」です。
ページ順に重ね合わせることを「丁合(ちょうあい)」と呼びます。
丁合した部品はそのままではバラバラですので、針金や糸などでつなぎ合わせることによって本の形に仕上げていきます。
さまざまな製本方法
紙を本の形に仕上げる製本には、仕上がりの形状に応じて種類があります。
例えばリングノートのようなリング製本や、市販の製本テープでもできるテープ製本などもありますが、特に代表的なものとして「上製本」「並製本」が挙げられます。
上製本
上製本は、書籍に代表されるような表紙に芯が入った硬い「ハードカバー」の製本方法を指します。
本の中身(本文)を糸や接着剤で綴じ、別で仕立てた厚い表紙をつけるのが一般的です。
表紙が硬く分厚いので高級感があり、また外部からの衝撃に強く長期保存にも向いています。
小説などの書籍、画集、絵本の他、記念となる卒業アルバムや周年記念誌などにも採用される製本方法です。
並製本
並製本は、雑誌に代表されるような表紙に芯材を使わない「ソフトカバー」の製本方法を指します。
上製本とは異なり、本文を表紙でくるみ一気に仕上げるので、コストが抑えられ短納期で仕上げられる点がメリットで、文庫本やムック、パンフレット、カタログなど、多くの冊子が並製本で作られています。
並製本の中でも、背の綴じ方に「中綴じ」「無線綴じ」などの種類があります。次章で詳しく解説します。
並製本の綴じ方の種類
ページ数の少ない冊子で定番の「中綴じ」
およそ8~96ページまでのページ数が少ない冊子によく用いられる綴じ方が「中綴じ」。見開きページの中央を針金で数か所留める方法です。
ページを180度開くことができるため、見開きで大きく情報を見せることが可能です。また多くの印刷会社で取り扱われる綴じ方なので、コストメリットを出すことができます。
中央で綴じるため、ページ数は4の倍数である必要があります。
◆用途→会社案内、パンフレット、取扱説明書など
針金を使用しない「ミシン綴じ」
見開きページの中央を、針金ではなく糸でミシンのように縫い上げる綴じ方が「ミシン綴じ」です。中綴じと同じように180度開くことができるのに加え、糸で縫いあげるので丈夫で、針金が引っかかる心配がなくなる点が魅力です。
およそ48ページ程度までと、綴じられるページ数は限られます(中綴じと同じく4ページの倍数にする必要があります)。また、中綴じと比較してコストも上がります。
◆用途→学習用ノート、連絡帳、教科書など
紙を圧着して針金も糸も使用しない「エコプレス製本」
中綴じのように針金を使用しないので安全で、かつコストは中綴じと同じで安価な方法が「エコプレス製本」です。強い圧力をかけて紙の繊維をからませることで製本する、安全でエコな新しい製本方式です。
その特性を生かし、お子様や高齢者の方が手に取るような冊子や、環境活動のPR媒体への活用がおすすめです。
紙を圧着して製本するので、従来の中綴じでは綴じられなかった2ページの部品でも製本でき、より柔軟なページ構成が可能ですが、圧着できる紙枚数には限度があり最小6~24ページまでが確実です。また、プレス部分に幅が出るため180度開くことはできませんのでご注意ください。
◆会社案内、CSR報告書、製品パンフレット、取扱説明書など
※エコプレス製本特設サイトはこちら
ページ数が多い冊子で定番の「無線綴じ」
「無線綴じ」は、本文の背面部分に専用の接着剤を塗り、表紙でくるんで綴じる方法です。糸や針金は使用しない方法で、普段手に取る文庫本や雑誌などにも用いられている身近な製本です。
およそ96ページ以上の厚めの冊子に向いており、例えば500ページ以上の分厚いカタログなどにも採用されています。180度開くことはできないので、筆記用の印刷物にはあまり向いていません。
似た綴じ方として、背面部分に細かく切り込みを入れて接着剤をなじませることで強度を高める「アジロ綴じ」や、従来の無線綴じよりも強度が高く開きやすい「PUR製本」などもあります。
◆用途→文庫本、辞書、カタログなど
製本方法を選ぶポイント
製本方法に適したページ数か
上の綴じ方の種類でも記載した通り、それぞれの製本方法にはそれぞれに適したページ数が存在します。
なお、使用する紙の厚みや紙質によっても推奨ページ数は変化しますので、実際に製作される際にはご相談ください。
仕上がったときに使いやすい製本方法か
製本方法を決定する際には、冊子ができあがった後にどのような使われ方をするかをイメージすることも大切です。
例えばノートのように筆記用に使う冊子なら、180度開いて書きやすい仕上がりになる製本が良いでしょう。また、何度も開いて閉じてを繰り返すカタログなら、より丈夫な製本を選択した方がよいでしょう。
用途に応じた製本を選ぶことで、冊子を使うエンドユーザーの満足度にもつながります。
製本方法に迷ったら、専門家にお問合せください
製本の種類と綴じ方について、並製本を中心にご紹介しました。ここに書いた以外にも「スクラム製本」「和綴じ」「コデックス製本」など、紹介しきれなかったさまざまな製本が存在します。
「こだわりの1冊」を叶える最適な製本をご提案させていただきますので、製本仕様にお悩みでしたら、ぜひお気軽にお問合せください。