オンデマンド印刷とオフセット印刷、どちらを選ぶ?それぞれのメリット・デメリットを知って使い分けよう
Webでも商品の閲覧や注文をできる仕組みをつくったものの、反動でカタログやパンフレットの出荷が減って、在庫の保管や廃棄にお困りではありませんか?
企業として、ペーパーレスやデジタル化に対応することは必須。しかし、完全に紙のカタログをなくしてしまうことは、なかなかできないと思います。
そんなときにおすすめなのが、「必要な分だけ、必要なときに」印刷できるオンデマンド印刷です。
この記事では、オンデマンド印刷とオフセット印刷の違いを、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら徹底解説します。
印刷物の発行部数の最適化や、新しい広報宣伝のご参考になれば幸いです。
オンデマンド印刷(デジタル印刷)とは?
オンデマンド印刷はひとことで言うと、「必要な分だけ、必要なときに」印刷できる印刷方式です。
オンデマンド=On-Demandは英語で「要求(Demand)に応じて」という意味で、ユーザーから要求があった際に対応することを指します。
従来の印刷では、「刷版(さっぱん)」という印刷用のハンコを使用しますが、オンデマンド印刷では刷版を必要とせず、データを直接印刷機に送って印刷します。大きなコピー機をイメージいただくと分かりやすいと思いますが、データからすぐに印刷工程に移ることができるので、短納期で素早く対応できるという意味で「オンデマンド印刷」の名前がつけられました。
デジタルデータを版なしで印刷することから、「デジタル印刷」とも呼ばれます。
オンデマンド印刷の中でもさらに、粉状インク(=トナー)とレーザー光線を用いる「レーザープリント式」と、インクを用紙に直接吹き付ける「インクジェット式」 に分かれます。
オンデマンド印刷は仕上がりが劣る?
オンデマンド印刷よりも、オフセット印刷の方が仕上がりが綺麗だと言われることが一般的に多いようです。
オンデマンド印刷が始まって間もない頃は、印刷のムラやテカリなどが目立ちクオリティが低く仕上がることもあったようですが、印刷機の技術も進み、現在ではプロが見ても遜色なく綺麗に仕上がるようになりました。
今まで「オンデマンド印刷はクオリティが心配」と避けてこられた場合でも、ぜひ一度ご相談ください。
オフセット印刷とは?
オフセット印刷は、「版」を使用した印刷方式です。
この「版」は「刷版」と呼ばれます。
刷版にインキをつけ、版についたインキをブランケットと呼ばれるゴム胴へ転写(オフ)してから紙に印刷(セット)する方式で、普段目にする書籍やポスターなど、幅広く利用されいているポピュラーな方式です。
オンデマンド印刷のメリット・デメリット
2種類の印刷方式の仕組みを簡単にご紹介しましたが、ここからは各印刷方式のメリットとデメリットを、詳しく解説させていただきます。まずはオンデマンド印刷についてです。
メリット
①必要な分だけ印刷できる
オンデマンド印刷は版をつくる必要がないため、少ない部数から印刷することが可能です。
1部からでも発行できるので、最小限必要な部数だけを都度印刷して不良在庫のリスクを減らし、在庫レス・廃棄レスを実現することができます。
例えば数千部のロットで生産しているカタログの場合、従来は自社内や外部の倉庫に在庫を抱えコストがかかっていると思います。
必要な部数だけを少しずつ印刷するオンデマンド印刷なら、在庫コストも削減でき、ペーパーレスで環境貢献にもつながります。
②内容が一部異なる印刷にも対応できる
オンデマンド印刷は「イラストや画像違いで複数種類の販促物をつくりたい」「シリアルナンバーを入れて印刷したい」などのご要望に応えることもできます。業界用語では「バリアブル(可変)印刷」と呼ばれる印刷方式です。
パーソナライズ化したい印刷物には、オンデマンド印刷が最適です。
③急な修正や短納期にも対応できる
製版を必要としないオンデマンド印刷は、版をつくる工程が減る分、修正や増し刷りに素早く対応することが可能です。
弊社でも、急な修正が必要になったり、予想よりも出荷が早く少部数だけでも追加の印刷が必要になった場合などには、オンデマンド印刷でスピード感をもって対応させていただいています。
④少部数の特色印刷にも対応できる
弊社では、オンデマンドで特色の印刷に対応でき、メタリック、ホワイトなどの色を使った印刷が少部数から可能です。
DICやPANTONEなどの特色インキも、ほとんど近しい色味で再現することができますので、部数が少ない場合でも諦めてしまわず、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
デメリット
①部数が増えるとコストがかさむ
オンデマンド印刷は、部数が増えるとコストが高くなるので注意が必要です。
実際に製造する印刷物の仕様にもよりますが、当社ではおよそ500~1,000部以下ならオンデマンド印刷をおすすめしています。
オフセット印刷のメリット・デメリット
続いて、オフセット印刷のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
①部数が増えると1部あたりのコストが下がる
オフセット印刷は、印刷機に版をセットして一気に刷り上げるため、数千~数万部のロットを印刷する場合におすすめです。
版の費用は部数が増えても固定なので、部数が増えるほど1部あたりのコストは下がる計算になります。
②安定した品質で印刷が可能
オンデマンド印刷も綺麗に仕上がりますが、「どうしてもこの色で印刷したい」「増し刷りしても色を正確に再現したい」など、色にこだわりがある場合はオフセット印刷が向いています。
デジタルデータから直接出力するオンデマンド印刷は機械のコンディションや気温・湿度などで多少刷り上がりが変化しますが、オフセット印刷では印刷オペレーターがその時々の色味に合わせて、手動で色調整を行うため、より精度の高い色の再現が可能になります。
③大きいサイズの印刷が可能
オフセット印刷の方が物理的にも機械が大きく、A0サイズなどの大きな用紙に対応している場合が多いです。
また、複数のチラシやパンフレットをひとつの版に焼いて一度に印刷する「付け合わせ印刷」をすることで、用紙のムダを省きコストを抑えることも可能です。
デメリット
①ロットが少ないと割高になる
オフセット印刷の場合、どうしても版の費用がかかります。
印刷部数が少ない場合は版のコストの割合が高くなるため、1部あたりの単価も高くなりがちです。
②納期が必要
デジタルデータから直接印刷するオンデマンド印刷と比較して、版をつくるを製版工程が必要なので、その分納期が長くなります。
③少部数・多品種の印刷には不向き
オンデマンド印刷のメリットでご紹介した「バリアブル印刷」のように、さまざまな種類の印刷物を少しずつ印刷しようとする場合、オフセット印刷では種類ごとに版をつくらなくてはならないので、版のコストがかさみ、割高になってしまいます。
すこしずつ、種類を多くして印刷物をつくりたい場合は、オンデマンド印刷がおすすめです。
それぞれの印刷方式に向いている印刷物
オンデマンド印刷とオフセット印刷には、それぞれ得意分野と苦手分野があることがお分かりいただけたと思います。
同じものを印刷する場合でも、目的や用途よってどちらの印刷方式が良いかは変化します。作りたいツールの目的や用途に応じて、それぞれの特徴から使い分けるのが良いでしょう。
それぞれの印刷方式に向いている印刷物はどのようなものか、以下に例を挙げてみます。
オンデマンド印刷に向いている印刷物
オンデマンド印刷は「必要なときに、必要な分だけ」印刷する方式でした。そのため、
・印刷部数が少ない
・短納期で印刷が必要
・1部ごとに情報を変えたい
といった場合におすすめです。
例えば、
・所属や名前の部分を変更して何種類も印刷する名刺
・配布地域や店舗別に掲載内容を変更するチラシ
・送る相手に応じて内容を変更するDM
・改訂前だが在庫がなく、100部だけ増し刷りが必要なカタログ
などは、オンデマンド印刷でご依頼ください。
オフセット印刷に向いている印刷物
オフセット印刷は、版を使用して数量多く生産する場合に向いている印刷する方式でした。そのため、
・印刷部数が多い
・再版・改版で繰り返し印刷することが決まっている
・A2より大きいサイズで印刷する
といった場合におすすめです。
例えば、
・配布先が多く決まっているパンフレットやカタログ
・イベントを大々的に告知するバラマキ用のチラシやDM
・A1サイズの大きなポスター
などは、オフセット印刷でご依頼ください。
目的に応じて、最適な印刷方法をご案内します
それぞれの印刷の使い分けについても、何となくイメージいただけたでしょうか?
YPGでは、オンデマンド印刷・オフセット印刷のどちらも設備が整っており、お客様の目的やご予算に応じて最適な印刷方式でご提案させていただきます。
また、オンデマンド印刷の特徴を生かし、「在庫レス印刷」でお客様のカタログ在庫管理のお悩みにお応えしています。
「どちらの印刷方式で依頼すべきか相談したい」「印刷物の不良在庫に困っている」といった場合には、ぜひお気軽にお問合せください。