印刷物を様々な形状に仕上げる「トムソン(型抜き)加工」について解説
トムソン(型抜き)加工とは?
トムソン加工とは、パッケージ、化粧箱、紙器、POPといった厚紙の印刷物にトムソン型(木型)をプレスして打ち抜く加工のことを指します。紙を抜く以外にも、空押しで凹凸加工やミシン目、筋入れ、窓抜きなどの実用的な加工も同時に行うことができます。
「トムソン加工」の由来
印刷業界で一般的な名称で使われる「トムソン」。
その由来は1909年、アメリカの発明家ジョン・S・トムソン氏が設立したトムソン・マシン社が発売した「トムソン型打ち抜き機械」。
110年以上も前に開発された技術が現在も生き続けていることに、印刷産業の歴史の奥深さを感じますよね。
トムソン加工に必要なもの
トムソン加工を行うためには、加工する機械は当然ですが、「トムソン型」と呼ばれる木型が必要となります。
トムソン型はベースとなるベニヤ板や樹脂版に、レーザーや糸鋸盤で直線・曲線の溝加工を施し、その溝に合わせて刃物(トムソン刃)を埋め込んだ木型のことを指します。
トムソン加工の長所
さまざまな形状に対応
通常の直線的な断裁とは異なり、トムソン型は曲線など設計の自由度が高く、さまざまな形状に対応できます。
紙抜き以外の加工にも対応
紙を抜く以外にも空押しなどの装飾加工ができ、印刷物に効果的な演出を付加することができます。
リピートや大ロットはコストメリットが出せる
同じトムソン型を流用できるため、長期間のリピート案件や大ロットのものほど、印刷物同様にコストメリットを出すことができます。
使用頻度が多く刃が切れなくなったときでも、刃だけを交換すれば、引き続き使用できる点でもランニングコストを抑えることができます。
また、トムソン型は金型や腐食刃に比べてコストが低く、製作日数も短く済みます。
トムソン加工の短所
複雑な形状は苦手
様々な形状に対応できるトムソン加工も、トムソン型で表現できない高精細の複雑な形状には不向きです。
トムソン加工で抜けない複雑な形状は、レーザー加工で対応することができますので、後ほど紹介します。
また、加工時の抜け落ち防止に、つなぎ(小さな突起)ができるため、カードなどのつなぎが気になる印刷物にはおすすめしません。
少ない部数はコスト高に
抜き加工をするには初回にトムソン型の作成費用がかかるため、数十部程度の小ロットの場合、どうしても1部あたりのコストが割高になってしまいます。
また、トムソン型を長期間使用しないと劣化してしまい、再製作が必要となる場合があります。
トムソン加工よりも繊細な加工なら「レーザー加工」
トムソン加工の短所を補う技術として近年、レーザー加工の導入が進んでいます。
レーザー加工は、トムソン型が不要で、型抜き加工ではできなかった複雑で微細な切り抜きや彫り加工が小ロットから可能です。
ここ数年流行している「切り絵御朱印」に代表されるように、通常の印刷物に微細な切り抜きやハーフカット、彫刻加工などを施すことで、高付加価値と特別感を演出できます。
抜き加工でプラスαの販促効果を!
今回は、抜き加工の代表である「トムソン加工」と近年導入が進んでいる「レーザー加工」について触れてきました。どちらの加工も通常の印刷物にプラスαの効果を与えてくれます。
YPGでは、これまで培った実績を活かし、紙・印刷のプロとして販促に効果的な加工や形状をご提案させていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。