疑似エンボスとは?よりデザインの幅が広がる印刷加工もご紹介
印刷物の高級感を高める特殊な印刷加工にはさまざまな種類がありますが、「疑似エンボス」という印刷加工をご存知ですか?
同じく特殊印刷加工の一種である「エンボス加工」とよく似た言葉ですが、"疑似"という表現の通り、エンボス加工のような見た目を印刷で表現するのが「疑似エンボス」です。
この記事では、疑似エンボス加工の仕組みや特徴を分かりやすく解説します。
また、記事の最後では疑似エンボス加工よりも高級感を増し、デザインの幅が広がる当社の印刷加工についても写真を交えてご紹介させていただきます。ぜひご一読ください!
「疑似エンボス印刷」とは?
そもそも「エンボス加工」とは
エンボス加工は、紙にでこぼこを付けて立体感を表現する加工です。凸版と凹版の間に用紙を挟み込んで圧力をかけ、その部分を浮き出させます。
でこぼこによる陰影によって、シンプルでも表情のある印刷物に仕上がります。また、視覚的な印象だけではなく手ざわりもでこぼことしているので、特別感を感じさせてくれる印刷物を作ることができます。
高級感の出る加工ではありますが、エンボス加工には凸版・凹版が必要になるため、ひとつひとつ形状に合わせた専用の型が必要で、型の製作コストがかかります。また、当然ながら印刷した後、製本の前に加工工程が追加されるので、納期もかかります。
「疑似エンボス印刷」とは
疑似エンボス印刷とは、名前の通り「エンボスのような加工を表現する印刷」です。
通常のカラー印刷の上に、2種類のニスを使用することで、質感の違う2パターンのテクスチャを表現することができます。
つまり、エンボス加工は型を使用し、物理的に紙の形を変形させる加工方法でしたが、疑似エンボス印刷はインキだけで凹凸を表現する手法です。次の項目で詳しく解説します。
疑似エンボスの仕組み
通常インキを印刷しても、印刷した面はでこぼこしませんよね?では、なぜインキのみで凹凸の加工が可能なのでしょうか?その仕組みを簡単な図にしてみました。
疑似エンボスに使用する2種類のニスは、「ハジキニス」と「光沢ニス」です。印刷用紙にカラー印刷をした後、①ハジキニス→②光沢ニスの順番で印刷します。
①ハジキニスを印刷する
ハジキニスは、名前の通り"はじく"ためのニスです。カラー印刷の上から、ざらざらとしたエンボス加工のような質感に仕上げたい箇所にだけ「ハジキニス」を印刷します。
②光沢ニスを印刷する
続いて光沢ニスを印刷します。すると、光沢ニスだけの部分はツヤツヤになりますが、ハジキニスの上に乗った光沢ニスは、ニス同士がはじき合うことで水滴のようにつぶつぶとした形状になります。
③UV硬化させる
②で印刷面にツヤツヤとつぶつぶの差が生まれた状態で、ニスをUVランプで硬化させます(UV硬化するマニキュアのようなイメージです)。すると、ニスがそのままの形状で固まります。ツヤツヤした部分は平らで光沢があり、ハジキニスにはじかれ、つぶつぶした部分は凸凹としてマットな質感になります。
このように、2種類のニスの性質とUV硬化の技術を活用して、インキのみでも疑似的にエンボスを表現しているのが「疑似エンボス」です。
疑似エンボス印刷の特徴
では、疑似エンボス印刷を検討される際にぜひ覚えていただきたい、インキで実現する特殊加工ならではの特徴を3つ、ご紹介します。
目を惹き差別化できる
疑似エンボス印刷によって表現されたツヤとマットのコントラストは、光の加減や見る角度によっても変化し、陳列棚やパンフレットラックで他の販促物と並んだ場合でも、目を惹きつける特別なツールになります。特に販促に力を入れたい新商品や、高級感を全面に押し出したい製品・ブランドの販促ツールにおすすめです。
納期が早い
エンボス加工をはじめとした特殊加工の多くは、印刷の後に加工の工程をはさんで製作する必要があります。しかし疑似エンボス加工は、印刷する際にカラー4色+ニス2種を一度に印刷することができるので、追加の工程が発生することはありません。そのため、他の特殊加工よりも納期を短縮することが可能です。
環境に優しい
従来、印刷面をツヤツヤやマットに仕上げたい場合、PP(ポリプロピレン)フィルムを圧着するPP加工が主流です。しかしポリプロピレンは石油を原料とした素材であるため、使用すると環境に負荷がかかることになります。
疑似エンボスはインキのみで実現する加工であるため環境に優しく、またPP加工では実現できないコントラストを付けたデザインが可能になります。
いっそう高級感を演出する独自の加工技術
疑似エンボス加工について、ご理解いただけましたでしょうか?YPGでも疑似エンボス印刷が可能ですが、よりデザインの幅が広がり、高級感を演出する場合にぴったりの特殊印刷「疑似マット+マットニス印刷」についても、最後に写真を交えながらご紹介させていただきます。
繊細なデザインも思い通り!「疑似マット+マットニス印刷」
複雑な名称ですが、仕組みは疑似エンボス加工と同様に、インキやニスを重ねて印刷していくことでツヤとマットのコントラストを表現する、当社独自の印刷手法です。
疑似エンボスとの違いはズバリ、表現できる絵柄の繊細さ!
疑似エンボス加工は2種類のニスの自然な反発を利用して凸凹をつくるので、例えばざらざらの粒の大きさを変えたり、柄を変えたりすることはできません。また、ツヤ部分とマット部分の境目もニスのはじき合いによってできるものなので、少し曖昧ではっきりとした線にはなりません。
このような弱点を解消したのが「疑似エンボス+マットニス」です。ツヤ部分とマット部分の境目がくっきりと表現でき、線の細い絵柄や思い通りのエンボスの柄・マット部分の質感を形にすることができます。いっそう高級感を演出したり、こだわり抜いた販促物を表現したい場合におすすめです。
エンボス以外にも、さまざまな質感を表現します
「疑似エンボス+マットニス」印刷は、YPGの「UVクリア印刷」ソリューションの一環です。
ツヤとマットの印刷や、用紙の組み合わせで自由自在に印象を変化させる特殊印刷手法について、詳しくはこちらのページからご覧ください。
表現したいデザインをお気軽にご相談ください
YPGでは創業117年の実績を生かし、紙と印刷のプロとして、各特殊印刷の使い分けや、販促に効果的なツールのご提案をさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。